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    KTMの2017MotoGPチャレンジ

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     KTMが2017年本年度より新たにMotoGPクラスにフルエントリーすることになりました。

    マシンはV4エンジンのRC16
    ライダーはポル・エスパロガロとブラッドリー・スミス

    他社のマシンとのポテンシャルを比較するために、一発タイムならオラに任せろの特攻隊長としてエスパロガロさん。

    真面目で愚直なまでにレースに取り組むことでプロとして評価の高いスミスさん。効率よく誠実な評価と精密なデータが収集できるでしょう。無理無駄無茶を避けマシンも壊しません。

    なかなかの良い組み合わせのライダーなのではないでしょうか。

    現在のMotoGPマシンは、パッケージとしていかにレースタイムを削り、年間を通して安定した性能を出せるように、ベースとなる高度な性能が求められます。またレギュラーでランキングが上位になるほど、シーズン中のエンジンの仕様変更禁止、使用燃料や使用可能なエンジン数に制限が課せられます。

    16スティント(全16戦でしたっけ)の耐久レースを戦うようなもので、スタートラインについた時にはもう勝負は大方決まっているようなもので、いかに準備をするか、いかに方向性を定めるかにかかってきます。

    結果、勝つための基本定理のようなものを前提にしたマシン、つまりコンベンショナルで似たようなマシンになってきます。

    現在のMotoGPマシンのトレンド

    燃費が良くて耐久性があり、トラクションに優れた、つまりフレンドリーでリニアリティのあるエンジン。

    ・不等間隔爆発(ビッグバンエンジン)

    メリットとして一般的にトラクション性能に優れていて、開けやすい特性のエンジンといいます。デメリットとしては振動対策として、エンジンの剛性確保(重量増)、バランサーの設定などが必要となります。

    パワーを出すだけなら等間隔爆発でクランクマスの軽いエンジンが最適なのですが、過激な特性に猛烈なエンジンブレーキの、凶暴で扱い難いエンジン特性になりがちで、一発タイムは出せたとしても、タイムが安定しない、タイヤに厳しくなる、結果レースタイムが遅くなる傾向があります。またいくらパワーがあっても扱い難い特性のエンジンは、ストレートスピードも伸びません。開け難い特性のエンジンはコーナーからの脱出加速が遅くなり、過度のホイルスピンやウイリーを誘発して、パワーを速度に換えられないのです。
    また以前までは、気難しいエンジン特性を電子制御によってコントロールする方策もありました。そのためには高度な技術(つまり資本力)が必要となり、資本と技術の蓄積のある序列順になってしまい。それは時折ひとつかふたつ序列が入れ代わる程度となり、高度に洗練されたパレードになってしまい、エンターテインメントとしては面白みに欠けるものとなります。

    つまり、ホンダ、ヤマハ、ドカティ、スズキ、その他大勢という序列が明確に成り過ぎてしまうのです。

    なので現在では共通ECU、つまり皆さん同じ電気を使ってください、ということになり気難しいエンジンの電子制御に制限が掛けられたような状態になりました。なのでエンジンの基本特性をトラクションの良い、扱いやすい特性にする必要が出てきたのですね。

    つまり、お薬による対処療法に制限が出たので、その前にタフで優しい身体作りましょうか、って話です。



    ・逆回転クランクシャフト

    最高1万8千回転のクランクシャフトは猛烈なジャイロエネルギー(以下ジャイロ)があり、さらにカムシャフトは半分の回転でクランクシャフトに比べれば軽いとはいってもそのジャイロは無視できません。また電子制御の制限によりエンジンの基本特性で開けやすくエンジンブレーキを軽減するためにクランクマスを増やすと比例してジャイロも増大します。

    ここでクランクシャフトの回転方向が課題になってきます。

    進行方向に正回転のクランクシャフトのジャイロは、ホイールのジャイロと相まって操縦安定性には有利な方向となります。

    Tacx(タックス)ANTARES 3本ローラー

    自転車が3本ローラー上で自立できるのもホイールのジャイロのおかげです。

    ところがMotoGPマシンで時速340キロ、クランクシャフトの回転数が18,000回転以上ともなると、ジャイロが有害要素になってくるのです。操縦安定性と軽快性や旋回性は相反する要素で、過大なジャイロがハンドリングを重たくしアンダーステア方向に作用するのです。リーンが重たくなり旋回性が悪化します。特にパラ4エンジンはクランクピンを共用するV4に比べ、クランクシャフトが長く(重たく)なるためにジャイロが大きくなります。

    例えば鈴鹿のS字なんかはエンジンをブンブン回しながら切り返していくのですが、パラ4はV4に比べると切り返しも重たく、エンジンブレーキも強くなり操作や設定がシビアになります。

    これはエンジン高回転では倒しこみが重たくなり、重たいホイールは定常円旋回では安定しますがリーンが重く旋回性が悪いことなどから実感しやすいと思います。


    「地球ゴマ 教材セット」の画像検索結果

    岐阜物理サークルの「ジャイロ二輪車」


    ネットで丁度よいサンプルを見つけました。

    これは車輪が画像右(手前)が回転軸、左(奥)が固定軸となっていて、しかもクランクシャフト代わりにジャイロ(宇宙ゴマ)があり、2輪車そのものです。しかもキャスター0(トレール0)のためセルフステア無しで操縦安定性が最悪、つまり直立すら難しい設定となっているのでイメージしやすいかと思います。

    この二輪車でジャイロを勢いよく回転させると、静止状態でも自立します。

    次にジャイロを右方向(進行方向)に回転させ右方向に押し出すと、ピタッと安定して進んで行きます。左右どちらかに傾けるとリーンした方向にステアしながら進みます。

    さらにジャイロを左方向(進行方向逆)に回転させて押し出してみます。二輪車のスピードが落ちてくると逆操舵しながら倒れてしまします。

    *実際に実験したわけではないのですが、物理的にそうなるはずです!間違えていたら笑ってやってください(震え)

    そう、これが現在のトレンドのMotoGPマシンの逆転クランクなのです。

    ・目的

    ジャイロ軽減により軽快性を出す

    逆回転のクランクシャフトを正回転に置換するプライマリーカウンターシャフトが必要になり、一軸増加することになり重量とフリクションロスが増加しますが、このプライマリーカウンターシャフトにもジャイロを持たせて、クランクシャフトのジャイロと相殺して、エンジンのジャイロを調整しているのではないでしょうか。またバランサー機能を持たせてプライマリーバランサーカウンターシャフト(長っ)とすることもできるでしょう。


    【逆転クランク】
    クランク(逆)→プライマリーカウンターシャフト(正)→メインシャフト(逆)→カウンターシャフト(正)→駆動輪(正)


    ・メリット

    軽快性

    ジャイロ低減で運動性を上げ、アンダーステア要素を軽減し、過大なピッチング要素を低減する

    ・デメリット

    アンチウイリー方向には不利であるが、リアのアライメントやウイングで解消できるのでは

    一軸増えることによるフリクションロスと重量とスペース増があるがトータルでネガを少なくする。



    【正回転クランク】

    クランク(正)→メインシャフト(逆)→カウンターシャフト(正)→駆動輪
           
           →プライマリーバランサーアイドルギヤ(逆)

    ・メリット

    最適軸配置

    アンチウイリー方向には有利

    ・デメリット

    過大なジャイロによる鈍重な操縦性

    ノーズダイブ方向へのピッチングが過大になり、前輪の荷重の荷重変化が過大になることによるネガ。

    逆回転のバランサーアイドルギヤにジャイロを持たせて、全体のジャイロを軽減させることは可能ですね。


    次にエンジンレイアウトです
    現在のMotoGPクラスの技術規則から、自ずとV4かパラ4となってきます。

    【V4】
    ・メリット
    クランクピンの共用とシリンダの位相でエンジン幅を狭くすることができる。
    一般的なクランクの位相は180度か360度ですが、現在では様々な位相があり、一次振動やエンジン特性の傾向も多様になっていいます。

    ・デメリット
    エンジンの前後長が長くなるために、エンジン本体、排気系を含め車体レイアウトが苦しくなります。

    ・V4スクリーマーエンジン
    90度V4で180度クランクという設定が、90度等間隔爆発となり一次振動面でも有利となり、最もスムーズでパワーの出るエンジンになりますが、反面MotoGPでは行き過ぎて過激な特性となりマシンのパッケージとしては扱い難い特性となります。

    ・V4ビッグバン(不等間隔爆発)エンジン
    クランクピンを360度としてV2エンジンのような特性にしてみたり、さらに270度や任意の角度に位相して不規則な爆発タイミングにして、トラクション性能の向上とフレンドリーなエンジンフィールを図るのが、MotoGPの現在の主流となっています。



    【パラ4】
    ・メリット
    エンジンの前後長を短くできるために、2輪車レーシングマシンの車体レイアウトには有利です。

    ・デメリット
    エンジン幅がV4に比べると広くなりますが、最近ではエンジンデザインの最適化でかなり幅は狭くなっています。
    クランクシャフトがV4より長くなるために、ジャイロが有害要素となってきます。


    従来は180度クランクが一般的で、爆発タイミングは180度刻みとなりますが、ヤマハが先鞭をつけた不等間隔爆発パラ4エンジンにより、270度位相でV4やV2のような特性やさらに任意の位相クランクで様々な特性が設定可能で、スクリーマーパラ4も可能となっています。


    なので現在ではV4とパラ4の優劣は甲乙つけ難いと判断できます。

    【まとめ】
    現時点でMotogGPでの最適なマシンパッケージは、逆転クランクのビッグバンV4かパラ4ということになります。
    フレームはアルミツインスパーの、ロングリアアームの車体です。
    これが基本定理となってしまいました。

    そうここでKTMのMotoGPマシンRC16の仕様はというと、正回転V4スクリーマーエンジンに鋼管フレームなのです。
    最後発のメーカーKTMはあえて同じ轍を踏まず、独自のコンセプトとなっています。

    一見無謀なコンセプトのようにも伺えますが、僕は英断だと思うのです。
    なぜなら、後発のメーカーがどんなに力を尽くしても、技術の蓄積と資本のある先発のメーカーには勝てるわけがないのです。
    もし同じ技術力と資本を持っていても、後発メーカーが1年進む間に先発メーカーも1年先へ進んでしまい、絶対に追いつけないのです。
    KTMのスクリーマーエンジンのハイパワーと、正回転クランクのジャイロを最適制御し、鋼管フレームの優れた特性を生かすことができれば、一矢報いることは可能だと思います。
    しかもKTMはレース屋としては一流で優秀なエンジニアやリーダーもそろっています。

    ライダーのポル・エスパロガロさんなのですが,同様にアグレッシブなライディングの兄のアレイシ・エスパロガロさんがいます。
    アレイシさんで印象的なエピソードがありまして、アレイシさんが昨年まで在籍していたスズキのMotoGPマシン初乗りの時の第一声

    Power delivery is too strong

    エンジン特性が過激すぎるという意味だと思います。キレッキレのライディングをしていても、その走りはフレンドリーな特性あってこそなんですね。当たり前の話ですが。

    フレンドリーつまりリニアリティのあるエンジン特性ということっです。

    KTMは新規エントラントということで、シーズン中のアップデートも幅広く許されています。


    2017KTMには注目しています!

    参考

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    [ 2017/02/14 00:15 ] ショップ情報 | TB(0) | CM(-)

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